世にも奇妙な定食屋 | サム技研

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つぶやき

世にも奇妙な定食屋

2011.08.29 18:32

先日のこと。

お客様の工場で、朝から工事を行っていました。
電気配線やら、調整やらで、あっという間にお昼になり、
ご飯を食べようと、外に出ました。
サムの某S先生曰く、

「出張先では、食事の良し悪しで仕事のテンションが変わる」

といわれていることもあり、
出張先でのご飯といえば、間違いなく外食なので、
ipadを駆使して、店の吟味をするのが僕の仕事になっていました。

しかし、今回お客様の工場周辺にはまったく食事所がなかったのです。
はてさて、いったいどうしたものかな、と思っていると、
同行しているお客様Tさんがすたすたと歩いていきました。
僕とHAPPYさんは、

「むむ、なにかうまい店を知っているに違いない…」

と思って、後ろに続きました。

歩いて数分後、

ラーメン、と書かれたのぼりを発見し、
中華料理屋かなと思ったのですが、
近づくと、どうも様相が違いました。

居酒屋というか、スナックというか、
田舎の民家を中途半端に改装したような佇まいの店で、
入り口脇には、木の看板に手書きで、

「日替わり定食はじめました」

と書かれていました。
Tさんが迷うことなく入っていったので、

ほんとにここはいるの?

と躊躇していた自分は、
その店に入らざるをえなくなってしまいました。

店の中は薄く暗く、どこかの土産の人形やら、
田舎の家に置かれているような古めかしい小物が置いてあり、
カウンターの棚の上には焼酎ボトルが並んでいました。
非常に怪しい雰囲気が漂っていましたが、
ボトルには名前の書いてある札が掛かっていたので、
常連さんもいるのだろうと思い、
実は、おいしいのかもしれないぞ、という期待感が少し膨らんできました。

ただ、三つあるテーブルの一つが、おしぼりに占拠されていて、
店主であるおばさんが、
自分でおしぼりを巻いていたのを、見なかったことにすれば…ですが。
とりあえず僕らは注文をすることにしました。
僕はラーメンを頼もうとメニューを見たのですが…
「ラーメンが…ない…」
右から左まで、上から下まで、表も裏も、
手元のメニューだけでなく、壁に掛かっているメニューを見ても、
ない…

と僕が呆然としているときに、
HAPPYさんが、

「表に看板が出てたんで、日替わり定食頼むよ。
すいませーん。日替わり定食くださいー」

とHAPPYさんが店主に声をかけたのですが、
店主は苦いものを噛んだような、しぶーい顔をして、

「日替わり定食、ないよ」
え!?
だって、表に…
さすがに僕たちは顔を見合わせました。

「じゃあ、おすすめはなんですか?」

と聞くと、
店主は冷蔵庫を空け、中を調べてから、

「おすすめ、ないよ」

ないって、アンタ…
しょうがなく、僕はカツカレーを、HAPPYさんとTさんはオムライスを頼みました。
突然店主が店の外に出て行き、
数分後どこからか冷凍のカツを手に戻ってきたり、
次に入ってきた客が、日替わり定食を頼むに頼めなかったり、
といったことはありましたが、
無事に調理された料理が運ばれてきました。

オムライスを一口食べたHAPPYさんは、
なぜか悶絶し(塩コショウの塊が入っていたそうです…)、
その後も百面相をしながら、必死で食べていました。
それに比べ、Tさんは普通に完食。

チャーハンにケチャップをまぶして、
卵で包んだような味(HAPPYさん談)だったのに、平然と食べるなんて、
ここはやはりTさん行きつけの店なのか…と思いつつ店をでると、

Tさんが、

「いやー、まずかったね!」
と非常ににこやかに言いいました。
迷いなくこの店を選んだTさんも、はじめての入店でした。

僕もHAPPYさんもある意味ほっとしました…

「ところで、カレーはどんな味だったの?」
と二人に聞かれた、僕は答えました。

まんまボンカレーでした…
あと、福神漬けの代わりに紅しょうがが付け合せって…
お店選びは慎重に!

YKO

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